bitter and sweet-主任と主任とそれから、私-
社内のポータルサイトの会議室予約はプロジェクトメンバーの会議を最後に予約は入っていないことを確認済みだった私は、会議室に電気がついていないことで、誰もいないと確信していた。
だからノックもせず、ゆっくり会議室のドアを開けたところで固まった。
学生時代の放課後の教室を思い出させるほど、夕陽でオレンジ一色に染まった会議室で、男女が抱き合って唇を重ねていた。
最初は、そのオレンジがあまりにもまぶしくて、誰か分からなかったけれど、すらりとした長身の、整った髪型に自分の彼氏、そう唯野主任がキスをしていることが直ぐ分った。
相手は、少しだけパーマのかかったロングヘアをおろし、同性の私が羨ましく思うほどしなやかな体つきで、長身の彼のため、少しだけ背伸びして、彼の首に両腕を回し、からみつくように唇を重ねている。
影だけでエリカ先輩だとすぐに分かった。
それでも、息を飲むほどに、どこか化粧品やエステのポスターにでも起用できるのではないかと思うほどに2人の姿は美しかった。