bitter and sweet-主任と主任とそれから、私-
「ちょっと、暖かい飲み物買ってきます」
隣で新製品のパンフレットの校正をしていた香奈子先輩に一声かけて、フロアからでた私は会議室の一番奥にある自販機コーナーに向かった。
もう季節はすっかり秋で、いくら室内で空調が聞いているとはいえ、残業している時間帯になると一枚羽織っていないと寒さを感じる。
この時間に会議室は使われていなくて、すっかり暗くなった会議室前の廊下を通って自販機コーナーに行くには、ちょっとした怖さも感じてしまう。
自販機の光がぼうっと見えるところまで来た時に、その光で照らされていた2人の人影が見えたから、思わず、廊下の端に身を隠した。
その光で見えたのは、本郷主任と唯野主任。
その二人がただならぬ雰囲気で喋っていたからだ。