bitter and sweet-主任と主任とそれから、私-
「ひかり、そこで、何してんの?」
いつも隣で聞きなれている香奈子先輩の声が緊迫していた空気を破るように、明るく廊下に響く。
その声に、当の2人も私の存在に気付いたようで、2人して同じようにこちらを見て目を丸くしている。
「いつまで経っても、帰ってこないから、見に来たわよ」
香奈子先輩のいつもの世話焼きな言い回しで、私に近づいてくる。
「また、変なとこ、見られたな…」
舌打ちしながら、そう呟く唯野主任の声もかすかに聞こえてくる。
それでも私は動くことも、何か言葉を発することも出来ずにいて、この場から消えたいと強く願った。