bitter and sweet-主任と主任とそれから、私-

「あんたたち、何してんの?」

私に近づきながら、ようやく香奈子先輩は2人に気付き、声をかけた。



無言の彼らを咎めるように鋭いまなざしで睨みながら、香奈子先輩は私の動揺に気付いたようで



「ひかり、どうしたの?大丈夫?」



そう言って急いで私の隣にピッタリと寄り添ってくれた。




「駿介?ひかりに何したのよ?」



もう一度、射抜くような鋭い視線を送りながら言う香奈子先輩に、唯野主任は何も答えようとはせず、もっていた飲みほしたコーヒーの空き缶を律儀にゴミ箱に入れると、私の方へ近づいた。





「ひかり、今聞かれたこと。一旦、ちょっと考えさせて」

唯野主任は、その一言を言うと、エレベータの方へ歩いていく。



誰も、何も言うことが出来ず、唯野主任の足音を聞きながら、エレベーターの音だけが廊下に響いた。

 
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