bitter and sweet-主任と主任とそれから、私-
ようやく落ち着いて、目なんて真っ赤になってしまってたから逃げるように家に帰る。
全ての迷いや考えなんかを一緒に流してしまいたくて、いつも以上に長めにシャワーを浴びていた。
ふと、本郷主任の
「そんなの決まっているだろう」
その言葉が私の頭に思い浮かぶ。
本郷主任、私と香菜子先輩のどっちだと思っていたんだろう。
頭なんてもちあがらない程、傷ついてしまっているはずなのに、それでも本郷主任にどこかで淡い期待をしている自分が居る。
なんて都合がいい女。
自分でそう思いながら、自己嫌悪に陥る。
ふと、数ヶ月前、日曜日に一緒にディナーした時に言われた本郷主任の言葉を思い出してしまった。
「俺、部下に手ぇ出すつもりねぇから。」
私は本郷主任にとってのただの部下。
香奈子先輩は、部下で、親友の奥様で、頼りになる友達と言ったところかな。
それなら、もう答えなんて決まっている。
そう考えたら、なんだかとても悲しくなってしまっていて、なんだかよくわからない感情の涙がシャワーと一緒に流れて行った。