bitter and sweet-主任と主任とそれから、私-
「川畑エリカのことで傷つけてしまったのは事実だからな。申し訳なかった。」
ふと、私が見つめている事に気付いた唯野主任は私に向き直し頭を下げた。
「ただ…、ひかりが好きなのは、主任の俺だっただろ?いつも笑って、社員に優しくしてる仕事している時。俺が家で笑わないでいると、不安そうにしていたもんな。でも、俺もいつもいつも仕事の時みたいに笑ってばかりは疲れるんだよ」
そう言ってフッと苦笑いを浮かべた唯野主任の言葉が、私の胸の真ん中に深く突き刺さった。
もう既に限界が近付いている涙の決壊を必死に堪えて、下唇をしっかりと噛み、項垂れた。
否定の意味で少しだけ頭を横に振ってはみたものの、その言葉が図星のような気がしていて、何も言葉にすることが出来なかった。