bitter and sweet-主任と主任とそれから、私-
唯野主任と別れた翌日の日曜日の昼下がり、社内報の校正作業が遅れていたため、会社に向かった。
結局、昨日は喫茶店からどうにか家に帰り着き、抜け殻のようにテレビの前に座り込んだ。
唯野主任の前であれだけ涙を堪えたのに、1人になると涙なんか出なくて、身体だけが鉛がつけられているように重たくて、結局浅い眠りに落ちたのは明け方だった。
企画広報部のフロアに入ると、いよいよ残すところ健康万博まで1ヶ月となり、プロジェクトの準備に追われ通常業務が滞っていたのは私だけではなかったようだ。
本郷主任、前島さん、そして一昨日唯野主任と一緒に出張から帰ってきた神部君が慌ただしくパソコンに向かって作業していた。
私もパソコンに向かいながら、そのタイピングの合唱のような響きの中に参加する。
集中していないと、昨日の別れ話を思い出して気持ちが沈んでしまいそうで、目の前の校正作業だけに没頭した。