bitter and sweet-主任と主任とそれから、私-
「安藤さん、なんかあった?」
ようやく校正作業や週末残っていた庶務を全て完了して帰宅準備をする頃には、18時を過ぎようとしていた。
唯一の同期の神部君がコピーした資料をまとめながら心配そうに尋ねてきた。
「ううん。何もないけど、どうして?」
「別に。それより、今夜暇?俺、久しぶりに飲みたいんだけど付き合ってよ。前島さんも行きますよね」
今、心配してくれたのかと思いきや、急に食事のお誘い。
何がしたいんだ神部君。
ちょっと不思議に思いながらも2週間近く会っていなかった同期の彼が少しやつれて見えて、心配になって思わず頷いてしまった。
「本郷主任も誘う?」
そう言って本郷主任の席をみると、もう本郷主任は帰っていたようだった。