bitter and sweet-主任と主任とそれから、私-
「疲れたか?」
神部君と竹ノ内先輩が話で盛り上がる横で、本郷主任が私の隣に立ち、耳元で囁いた。
私は慌てて首を横に振る。
「まぁ、これ飲め。自販機のボタン押し間違えちまった。」
そう言って手渡されたまだ暖かい缶コーヒーは、本郷主任が絶対買わないようなミルクたっぷりのカフェオレだった。
「ありがとうございます」
「安藤、お前最近顔色悪すぎ。お前の上だけ蛍光灯切れたかと思うし。」
感謝して頭を下げたのに、頭の上から降ってきた言葉は、いつものぶっきらぼうの嫌味。直ぐに頭をあげて、ジト目で睨むと、本郷主任は鼻で少しだけ笑った。