bitter and sweet-主任と主任とそれから、私-
「ほら、買ってきたぞ、飲め」
本郷主任は買ってきた炭酸水を私の頬に当ててきた。
「冷たっ!!…ありがとうございます」
居酒屋からいつもは徒歩10分もかからない距離なのに、私は途中で急に気分が悪くなり、社員寮はすぐ目の前だというのに公園のベンチで休憩していた。
冷たい炭酸水を口に少し含んで喉に流し込む。
さっきまでずっと本郷主任に握られていた手首はまだ熱を帯びたように感じていて、顔も身体も火照っているかのように熱い。
喉を鳴らして、もう一口だけ炭酸水を飲み込むと本郷主任は少しだけ小さく安堵のため息をついた。
「それにしても、安藤がこんなに酔っぱらうなんて珍しいな」
同じ炭酸水のキャップを開けながら、私の隣に腰を下ろした。
「すみません」
自分でも酔いすぎている事は自覚していた。
本郷主任のその一言に咄嗟に出た言葉は謝罪だった。