bitter and sweet-主任と主任とそれから、私-
「別にいいけど…。唯野さんにこっぴどく振られたか?」
私の方なんて見もせず、まっすぐ正面だけを向いて本郷主任は言い放った。
「別れたんだろう、唯野さんと。まぁ、別に答えなくてもいいけど」
何も言わない私に、そう言って本郷主任は炭酸水を一気に喉に流し込んだ。
「なんで知ってるんですか?」
「お前、見ていたらなんとなくわかる」
急にそんなこと言われると、本郷主任を意識してしまって私は俯いた。
「最近、お前笑えてないぞ。目が全く笑ってない。大丈夫そうな顔して、全然大丈夫じゃねぇだろ。」
本郷主任の言葉が、まさにその通りで、私が見ない振りしている心の傷の痛みを思い出させる。
アルコールの力の手伝っているせいか、私の目から涙が溢れてきてしまいそうで、私は強く下唇を噛みしめた。