bitter and sweet-主任と主任とそれから、私-

「やっぱりね」

香奈子先輩はそう言って、ニヤニヤしている。


私が不思議な顔をして香奈子先輩の顔を覗きこむと

「インターホンの犯人、教えてあげようか?」



意地悪な小悪魔の笑顔をしてそう言った。


「はい。教えてください」


あくまで小声で、2人の秘密のように香奈子先輩に顔を近づける。



香奈子先輩は綺麗な細長い人差指である方向を指さした。


深めのホワイトのグラデーションとラメが綺麗にデザインされているネイルの先をたどるとそこは今日は有給休暇消化中で空席の主任の席。




「えっ?何で?」

思わず少し大きな声をあげてしまったけれど、その声は就業前のざわざわとした音に飲み込まれていった。


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