bitter and sweet-主任と主任とそれから、私-
「さっき本郷主任が機嫌悪かったのって、絶対コピー機の調子が悪かったからですよぉ。だってその前に本郷主任がコピーしてたらトナー切れちゃって交換するのにアタフタしてましたから。」
お昼休みに社食で並んで日替わり定食を食べながら、香奈子先輩と苦笑いしながら話していた。
「あはは。八つ当たりもいいところよねー。でもひかり、やっぱりよく見てるわね。本郷主任の事。」
「えー。そうですか?」
意味深な微笑みを浮かべて言った香奈子先輩に、思わずぎょっとしながらも平静を装って私はサラダを口に頬張りながら答えた。
それでも、香奈子先輩の言葉通りだという自覚はあった。
今日の午前中の業務の間も、私は気付けば本郷主任を目で追っていた。
ふと、本郷主任と目が合って、睨み返されて、
「集中しなきゃ」
と、自分に言い聞かせた。
幸いなことにそのあとすぐに本郷主任は外出したし、私も打ち合わせが営業部との打ち合わせがあったから、今の時間まで本郷主任の姿を追いかけなくてすんでいる。