bitter and sweet-主任と主任とそれから、私-
私が本郷主任を目で追っていたのはいつから何だろう。
結局たどり着いたのは、入職の時だった。
新人の頃からずっと目で追っていたということに気付いて、なんだかフッと本郷主任に対するバラバラだった気持ちのパズルが全てのピースがはまっていくように腑に落ちた。
本郷主任の事、最初は仕事の鬼だと恐怖の存在でしかなかったから表情や動きを気になるんだとずっと思ってた。
でも、本当は…。
毎朝、私の淹れたコーヒーを美味しそうに飲んでくれる姿見ていて、明日もこの人に作らなきゃって思っていて…。
この仕事の鬼の本郷主任の少しだけ幸せそうな顔、明日も見ようってずっとどこかで思ってた。
「そっかぁ。私、本郷主任のこと好きだったんだ」
ため息交じりに思わず小さく呟いた一言で私の意識は現実に戻ってきた。