bitter and sweet-主任と主任とそれから、私-
私の言葉に本郷主任はますます眉間に皺を寄せる。
怒りのボルテージが上がっているのが雰囲気だけでも察することが出来る。
「安藤、お前本当に俺を怒らせたいのか?」
「もう、怒っているじゃないですか。」
震えそうになる声も、思わず涙が出そうになる瞳も、下唇を強く噛んで必死で耐え、本郷主任を睨み返す。
2人の険悪な雰囲気に、残業している他の社員も気付きだして、注目されているのが分かる。
それでも、もう引き下がれない。
そんな周りの雰囲気を察したのか、本郷主任は私を睨むのを止め、小さく息を吐くと
「安藤、ちょっと来い」
そう一言だけ言うと、すたすたと歩いてフロアを出ていった。