bitter and sweet-主任と主任とそれから、私-

本郷主任の胸に顔を埋めていると段々冷静さを取り戻していく。



そして、勢い余って本郷主任に告白してしまったこと思い返すと、恥ずかしくなってきて顔が熱を帯びていくのが分かった。




私が冷静さを取り戻すのと同じように、本郷主任も何度が深呼吸をして、自分を落ち着かせているようだった。




「安藤、お前さぁ、フライングだろ」

「はっ?」



急に声がしたかと思うと盛大な嫌みのような言葉、抱きしめられたまま嫌味って私はどうすればいいのだろう。



しかも何のことを言われているのか全く見当がつかない。




思わず、本郷主任を見上げてしまった。




本郷主任は、見上げた私の頭をもう一度胸に押し付けた。

「このままの体勢で、ちゃんと聞いておけよ。」




表情を見られたくないのかもしれない。本郷主任のぶつくさと言った一言にそう感じ取った私は、胸に顔を埋めたまま小さく頷いた。

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