bitter and sweet-主任と主任とそれから、私-

「辞めるのは、俺じゃない。唯野さんだ。」




本郷主任の言った名前に、今まで熱を帯びていたはずの顔からスーッと熱が冷めていくのが分かった。






「動揺したか?」

そう尋ねられて、答えはイエスだったけれど、どう返答すればいいのかわからずにいると、それを察するように本郷主任の腕に力が入ったのが分かった。






「安藤が動揺するのは分かっていたし、安藤がなにかと仕事しづらくなるのが嫌だったから、4月になったら俺から言おうと思っていた」




それだけを言って、本郷主任が黙り込んだ。




「あー、答えになってないな。だから、同じフロアに、しかも主任2人が元彼と今の彼氏っていう状況は、どう考えても仕事がやりづらいだろう…。だから4月になったら…っておい!!」

私はどうにかその言葉を理解して、本郷主任を見上げてしまった。


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