bitter and sweet-主任と主任とそれから、私-

本郷主任は窓を少しだけ開けると、煙草に火をつけた。




「あのさ、ひかりのこと」



本郷主任に改めて名前で呼ばれると、胸が高鳴る。



それがばれるのがなんだかとても恥ずかしい気がして私は平静を装った。








「ひかりの事、ずっと『部下だから』って理由をつけて恋愛対象として見ないようにしてた。」

ぶつくさと本郷主任は、私の方は一切見ないで話を始めた。




仕事の鬼の本郷主任は、いつも仕事中は流暢に喋って、シャキシャキしているけれど、きっと自分の本心を喋るとき、こうしてぶつくさと喋るのだろうと、その時気が付いた。




< 250 / 282 >

この作品をシェア

pagetop