bitter and sweet-主任と主任とそれから、私-


あの日から10日が過ぎようとしていた金曜日。



結局あの夜は、

「明日も仕事だな」

なんて事務的に言われて、社員寮で降ろされた。


本当に現実なのだろうかと考えているうちに1人ベッドで眠りについて、朝を迎えた。





あの夜のことが嘘のようにいつもと同じように怒られ、睨まれ、別段何も変わらない日常が過ぎていく。





年度末に向けて徐々に仕事が忙しくなるこの時期に、本郷主任は唯野主任の退職の引き継ぎや後任人事やらに水面下で奔走しているようで、残業や休日出勤が続いているようだった。

 




昨日メールしたけど、結局は今日の会議の内容についてだけだったもんなぁ。

 



今朝も私は相変わらずいつもの給湯室で、ぶつぶつと呟きながら早朝から2人分のコーヒーを淹れていた。

 

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