bitter and sweet-主任と主任とそれから、私-


結局、あの夜から1ヶ月近くが経っても本郷主任は忙しいみたいで、デートというデートは出来ていなくて、何度か仕事終わりにご飯を食べに行ったくらいだった。




それも、もう時間も遅いからって、いつもの居酒屋だったり、なぜか神部君や竹ノ内先輩が一緒だったりと、付き合う前に行っていた飲み会とほとんど変わらなくって。




むしろ本郷主任は忙しくて、その飲み会すら最近は開催できていなくて。



キスはおろか、手を繋いでどこかに外出なんてあの夜以来一回もない。

 



仕事だって分かっていても、

「放置され過ぎて、腐っていきそうです」

そう言って不貞腐れて、香奈子先輩に愚痴る日々が続く。




「この前、言っておいたから。ひかりのその愚痴そのまま。そしたら、昼休みなのに仕事してて、『分かっている。俺は昼休みじゃない、仕事中だ。自席に戻れ』ってキレられたわよ」



肩をすくめて苦笑いを浮かべる香奈子先輩もまた、私たちを心配していたけれど、本郷主任の忙しさも十分分かっているようで、私をなだめ続けてくれるのだった。

 

 

 
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