bitter and sweet-主任と主任とそれから、私-
それはもう1ヶ月近くも私を放置していた張本人の本郷主任で、とっさに見つめ合う形になってしまった。
「えっ?!」
私が驚いて声をあげるのとほぼ同時に
「いくぞ、ひかり」
ぶつくさと言いながら、本郷主任は私の手首を引っ張って、二次会会場とは反対方向に向かって歩き出した。
「ごめん。俺、この後ちょっと予定があるから。お疲れー」
そう言って、入り口で群がっていた社員たちに一声かけひらひらと手を振った本郷主任に引き摺られるような形になった私は
「お疲れさまでした」
本郷主任に挨拶する面々に向かって、振り向いて挨拶をするのが精いっぱいだった。