bitter and sweet-主任と主任とそれから、私-
「ごめんな、かなり忙しくて」
隣で頭を掻きながら、すまなそうにしている本郷主任に、不貞腐れていたこともどうでもよく思えて
「いえいえ、大変そうだったですもんね。」
笑顔を見せると、本郷主任も少しだけ笑った。
「あれから、デートすらまともに出来ないし、せめてご飯でもと思ったら、何故か神部は付いてくるし…」
恨めしそうに、そう言う本郷主任がなんだかかわいらしく思えて私は少し笑ってしまった。
「正直、唯野さんの分まで仕事があるからもうしばらくは忙しい。多分4月になって、新しい主任が就任しても引き継ぎやらで…。」
申し訳なさそうにいう本郷主任に、私は寂しいって言葉を言うことが出来ずにいた。
「それでも、俺でいいか?」
そんな私に本郷主任が問いかける。
私は迷いもなく頷いて
「本郷主任、が、いいです」
そうきっぱり告げると、本郷主任は嬉しそうに持っていたコーヒーカップをソファテーブルに置くと、私の肩を抱き寄せた。