bitter and sweet-主任と主任とそれから、私-
「ひかり!!」
急に私の右腕を掴んだ本郷主任に驚いて、私は目を見開いて、言葉も出すことが出来ずに本郷主任を見つめた。
私の反応が予想外だったのか、少し本郷主任も狼狽した様子を見せて、天を仰ぎ、ほんの数秒何かを考えていた。
ふうっと小さく一息吐きだすと、まだ長さのある煙草を灰皿に押し付けた。
「あのさ、俺、色々考えたけど。…来月から会社で朝のコーヒーいらないから」
「えっ…」
本郷主任の言葉の途中だったのに、私は思わず落胆にきわめて近い言葉が口をついてしまった。
泣きそうな顔まで見せていたのか、本郷主任は困ったように頭を掻きながら
「あっ、すまない。そういう意味じゃないんだ。」
そこまで言って、もう一度改めて本郷主任は息を吐いた。