bitter and sweet-主任と主任とそれから、私-
翌日、業務が終わり、俺たちは安藤が予約してくれた沖縄料理が有名な居酒屋で飲んでいた。
安藤と同期の神部が酔っぱらって大騒ぎしているのを大石さんがなだめている姿はいつもと同じ光景だ。
安藤は神部が騒ぐので自分の席がなくなり、渋々俺の隣の席に移動してきて、から揚げにかぶりついていた。
「色気ないなぁ。お前」
「このメンバーでの食事会だけです!!他のところでは、から揚げなんて食べないいし、そんなに飲んでません」
安藤は俺をにらみながら、から揚げを頬張りながら言う。
新人の頃は、カシスオレンジ1杯だけ飲んで後はソフトドリンクばかり飲んで気を遣ってばかりいた安藤が、そんなにアルコールに強いわけではなさそうなのに今では片手にビールジョッキを持って、隣で喉を鳴らしている。
「なんだよ、このメンバーだけって」
俺は内心、いつも必要以上に周囲に気を遣ってばかりいる安藤が、このメンバーには心を開いてくれいていることが嬉しくて仕方ない。
けれど、そんなことを言えるわけもなく、いつものように嫌みに笑いながら伝える。
安藤は少し酔っぱらっているようで、その言葉に少し鼻で笑った。