bitter and sweet-主任と主任とそれから、私-
そして今日、親睦会と銘打って開催されたいつもの居酒屋での飲み会。
斜向かいの安藤がカシスオレンジをチビチビと飲みながら目をキラキラさせて、隣の唯野さんと話し込んでいる。
いつもビールジョッキ片手に神部とワイワイ騒いだりしているわけではなく、唯野さんの恥ずかしそうに微笑みながら「女」の部分を全面に出す安藤に俺は苛立っていた。
普段はあまり強くないので飲まないようにしているアルコールも今日はグイグイすすむ。
俺の隣で神部がいつものように酔っぱらい俺に絡んでくるが、そんなのは正直どうでもよくて、2人の会話が気になって気になって仕方がなかった。
唯野さんはビールを飲みながら頬杖をつき、あからさまに口説こうとしているのが分かる。
唯野さんが耳元で何かを話していると、安藤の顔が急に赤みを帯びてきて、逃げるようにトイレへと流れ込んだのが分かった。
唯野さんは、俺が見ていたのが分かったようで、俺に勝ち誇ったような笑みを浮かべたかと思うと竹之下と真面目に話だした。