bitter and sweet-主任と主任とそれから、私-

日曜日の昼下がり、俺はいつものように駐車場の警備員のおじさんにコーヒーを差し入れして、一緒に煙草を一服すると1人フロアに向かう。


ここ半年ほど別段予定がない時には、日曜に1人会社で仕事することも多くなっている。


フロアに足を踏み入れると俺は驚いて足が止まってしまった。



ストレートの胸まである髪をおろし、真っ白な膝上丈のスカートを履いた安藤は、いつもと雰囲気が違う。


ふいに、居酒屋での出来事を思い出してしまう。


「お前、なんで居るの?」


戸惑いを隠すように、わざとぶっきらぼうに言うと

「お疲れさまです。ちょっと、仕事残ってたから、もうすぐ帰ります。」


俺の態度を恐れてなのか、安藤は俯きながら答えたかと思うと

「主任、コーヒー飲みます?」

そう言って給湯室へと逃げていった。

< 76 / 282 >

この作品をシェア

pagetop