bitter and sweet-主任と主任とそれから、私-
日曜日の昼下がり、俺はいつものように駐車場の警備員のおじさんにコーヒーを差し入れして、一緒に煙草を一服すると1人フロアに向かう。
ここ半年ほど別段予定がない時には、日曜に1人会社で仕事することも多くなっている。
フロアに足を踏み入れると俺は驚いて足が止まってしまった。
ストレートの胸まである髪をおろし、真っ白な膝上丈のスカートを履いた安藤は、いつもと雰囲気が違う。
ふいに、居酒屋での出来事を思い出してしまう。
「お前、なんで居るの?」
戸惑いを隠すように、わざとぶっきらぼうに言うと
「お疲れさまです。ちょっと、仕事残ってたから、もうすぐ帰ります。」
俺の態度を恐れてなのか、安藤は俯きながら答えたかと思うと
「主任、コーヒー飲みます?」
そう言って給湯室へと逃げていった。