bitter and sweet-主任と主任とそれから、私-
まだ20分近く残っている昼休み、午後からの会議前に庶務を済ませてしまおうと俺はフロアに戻る。
そこには、パソコンとにらみ合いを続ける安藤がいた。
「お疲れ」
安藤の後ろを通りすぎ、声をかけると
「お疲れ様です」
声だけを返し、集中しているようだった。
この1カ月半、安藤も残業につぐ残業で疲れの色が垣間見える。
お盆休みで少し顔色は戻ったようだったが、もともと華奢な身体が、最近さらに痩せてしまったように思う。
それでも、毎日俺より早く出社し、いつもと同じコーヒーを淹れ、仕事の段取りをつける。
そんな安藤を見つめながら、以前、いつものメンバーで飲みに行き酔っぱらって
「私は仕事は出来ないけど、根性はあります~。むしろ根性しかありません。」
とわめいていたことを思い出し、思わず笑ってしまった。