bitter and sweet-主任と主任とそれから、私-
あれから1週間、どうにか社内報の仕事も一段落した金曜日の夜。
プロジェクトチーム8人での決起集会が開催された。
隣に座っていた幹事の神部君が竹之下先輩と盛り上がって、私の隣が空席になった所にタイミング良く出張を終えたばかりの唯野主任が滑り込んできた。
「お疲れ。飲んでる?」
「お疲れ様です。ちょっとだけ。」
二人で片手にビールジョッキを持って小さく乾杯する。
「今月の社内報、よかったよ。安藤さんに担当が変わって、読みやすくなった気がする」
まだまだ分からないことがたくさんで、本郷主任にも怒られてばっかりのなのに、こうやって褒められると思わず顔がにやけてしまう。
「ありがとうございます」
私は自分の顔が赤らんでいるのが分かって思わず俯いて、声を上擦らせながら答える。
「安藤さんは社内報だけじゃなくて、本当、毎日朝早くからコツコツ頑張ってるよね」
「ふふっ。ありがとうございます」
あまり仕事でほめられることがないから、私は恥ずかしくて顔から火が出そうになる。
「この前の話、俺本気だからね」
急にそう言われると
「じゃあ、俺、安藤さん狙っていい?」
その言葉が唯野主任の声で頭の中で再生される。
思わず私がコクリと小さく頷くのとほぼ同時に唯野主任が私の手をこっそり握りしめてきた。
私は驚き、言葉にならず、口をパクパクさせてしまうと唯野主任はいつもの穏やかな笑みを浮かべて見つめてきた