bitter and sweet-主任と主任とそれから、私-
その時だった。
「た・だ・の・主・任―!!!」
語尾に無数のハートマークがついているかのような猫撫で声で、ひざ丈の花柄のワンピースを着たエリカ先輩が私と唯野主任の間に割り込んでくる。
思わず唯野主任が繋いだ手をひっこめた。
勤務中に羽織っていた淡いイエローのカーディガンを肩に掛け、細くて白い肌を見せている。
メイクもヘアアレンジもさっき会社で見た時とは違う。
女子力高いなぁ
なんて感心してため息を1つつく私をよそに、エリカ先輩は意図的なのか私に背を向けるように座り、唯野主任に身体を向かい合わせるように座った。
「主任、お疲れさまでーす。」
「かんぱーい!!」
唯野主任とエリカ先輩がグラスを合わせる乾いた音がする。