bitter and sweet-主任と主任とそれから、私-
2次会に唯野主任やエリカ先輩は参加しなかった。
その方が気持ちはなんだか楽だったけれど、居酒屋を出た店の前で、フラフラに酔っていたエリカ先輩は
「駿介さーん!!」
そう言って唯野主任に抱きついた。
「ほんと、エリカ飲みすぎ」
そう言って苦笑いをしながら、エリカ先輩を拒否することもなく抱きしめられたまま背中をポンポンとなだめていた。
私はどんな顔してこの2人を見ているんだろう
そんなことも思うことも出来る余裕もない程、突然
「ほら、安藤、行くぞ」
頭をワシャワシャされてしまい、1つにまとめていた髪の毛がぼさぼさになってしまう。
「もう!!本郷主任!!」
そう言って本郷主任を睨むと、急に肩を組まれて強引に私の向きを変える。
本郷主任は右手で神部君、左手で私と肩を組むと、
「じゃ、お疲れー」
テンション高く、2人や香奈子先輩に言いながら私たちを連れて2次会に向かった。
本郷主任はあまりアルコールは強くないから、今日だってそんなに飲んでいないことを私は知っていた
もしかして、私のこと気遣ってくれた?
まさかね。
唯野主任の言葉、唯野主任とエリカ先輩のこと、考えることが一気に増えてしまって、本郷主任の行動の真意には気付かないふりをした。