【短】あめだま。~きみと出会えた奇跡~
ひとつめ。
「お母さん!行ってきます!」
キッチンで朝ご飯の片付けをしているお母さんにそう声をかけ、私はドタバタと玄関へ向かって猛ダッシュ。
「はーい。気を付けるのよー!」
お母さんの声を背に玄関の扉を開けば、そこには私の幼なじみがふたり。
私を含めて3人とも、中高一貫校の私立、一ノ宮(いちのみや)学園高等科に通う高校2年生。
「おい、莉桜(りお)。今日も遅刻ギリギリじゃねーかよ!髪の毛、ボサボサだぞ?」
そう言って私の髪の毛に触れながらイタズラに笑ったのは、幼なじみのひとりの湊人(みなと)。
湊人は人を笑わせるのが大好きで、根っから明るい湊人の周りにはいつも人がたくさん。
茶色がかった髪の毛に、怖いくらい整った顔立ち。
でも全然ナルシストじゃなくて、自分よりも自分以外の誰かを優先できる。
そんな湊人が、私は物心がついた頃からずっと好きなんだ……。