【短】あめだま。~きみと出会えた奇跡~


1限目が終わり、2限目が終わり。


3限目ともなると、みんな授業を受けるのがだるくなってくる頃。


私たちの通う一ノ宮学園は私立だけど、そこまで頭が良いわけでもない。


偏差値だって、県内の高校で真ん中くらいだし。


「このHは水素で、ここのHeはヘリウムで──」

「いいか、お前ら。この周期表はよく覚えとけよー。テスト出すからな」


今は化学の授業。


化学は割りと得意な方だし……まぁ、ノートもある程度とれてるし、大丈夫か。


私はひとりでそう解釈すると、胸ポケットからいちごのあめだまをこっそり取り出した。


そして、あめだまの袋に書かれている文字をじっくり眺める。


< 17 / 55 >

この作品をシェア

pagetop