【短】あめだま。~きみと出会えた奇跡~
1限目が終わり、2限目が終わり。
3限目ともなると、みんな授業を受けるのがだるくなってくる頃。
私たちの通う一ノ宮学園は私立だけど、そこまで頭が良いわけでもない。
偏差値だって、県内の高校で真ん中くらいだし。
「このHは水素で、ここのHeはヘリウムで──」
「いいか、お前ら。この周期表はよく覚えとけよー。テスト出すからな」
今は化学の授業。
化学は割りと得意な方だし……まぁ、ノートもある程度とれてるし、大丈夫か。
私はひとりでそう解釈すると、胸ポケットからいちごのあめだまをこっそり取り出した。
そして、あめだまの袋に書かれている文字をじっくり眺める。