【短】あめだま。~きみと出会えた奇跡~
「もう、湊人。乙女心が分かってないなぁ。それじゃあ、莉桜がかわいそうだよ」
湊人の後ろからスッと姿を現したのは、冬真(とうま)。
冬真はバカばっかりしてる湊人と違ってすごく大人で、制服も着崩してないし、髪も黒だし。
湊人を問題児っていうなら、冬真は優等生っていうのがあってるかな。
「冬真、お前はな、小さい頃から莉桜に甘すぎなんだよ」
「なんで?別にいいじゃん。莉桜だって女の子なんだし、もっと大切にしてあげないと」
「はぁ~!?こいつが女だって?俺にはそんな風に見えないねー」
目の前でお決まりのやりとりが行われる。
……でもさ。
「ちょっと、湊人?誰が女に見えないって?」
「……え?気付いてなかったの!?もちろん、お前……いてっ!」
デリカシーの欠片もない湊人の頭を、私はこんしんの力を込めてはたいた。