【短】あめだま。~きみと出会えた奇跡~


湊人は思った通り顔をしかめて頭を押さえ、


「……ごめんなさい、莉桜さん」


って怒られたあとの子供のように唇を尖らせて肩をすくめる。


これももう、いつものこと。


しばらく家の玄関の前で3人で戯れていると、ガチャッと背後で扉の開く音がした。


振り向いてみると、扉を開けたのは私のお母さん。


「もう、やっぱりまだいたのね。湊人くんに冬真くん、莉桜。あなたたち、もうそろそろ学校行かないと、あと10分くらいで始業チャイム鳴るんじゃない?」


お母さんの言葉に、あわてて腕時計を見ると……


「え、やばっ!」


時刻は、8時28分。


学校が始まるのは8時40分だから、あと12分しかない。


いつも歩きで、約20分はかかるのに……。


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