【短】あめだま。~きみと出会えた奇跡~


学校へ行って靴箱を覗きこむと、いつものように私の予想通り、ひとつのあめだまがあった。


味は、いちご。


「あはっ」


ここまでくると、おかしくて少し笑っちゃう。


この人は、どれだけまっすぐで、きれいな心の持ち主なんだろう。


私は胸がポカポカと暖かくなるのを感じながら、今日のあめだまに書いてあるメッセージを読む。


“ありのままの莉桜が好き”


──ほんの一瞬、胸がドクッと強く脈打った。


私の体が、わけも分からぬまま、熱く火照る。


“好き”


あめだまの袋に書かれたその言葉は、私の心臓をドキドキさせるには十分すぎた。


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