【短】あめだま。~きみと出会えた奇跡~


私がひとりであわあわしていると、


「莉桜、行くぞ!」


って、私の手が誰かに引かれた。


手元から腕をたどって見ると、私の手を掴んでいるのは湊人で。


「おばさん!時間教えてくれてありがとうございます。莉桜は責任を持って俺たちが学校に連れていくんで!」


湊人は爽やかな笑顔でお母さんにそれだけ言うと、私の手を掴んだまま走り出す。


「莉桜、バック貸して」


私の隣に並びながら走る冬真がそう言ったから、言われるがままに私は冬真にスクールバックを渡す。


「っしゃ、行くぞ!」


湊人のかけ声を合図にスピードをあげた私たち3人は、たくさんの木々が並ぶ夏空の下の通学路を颯爽と走り抜けた。


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