【短】あめだま。~きみと出会えた奇跡~
湊人のことを追いかけ続ける私の横顔や背中を、どんな顔で見ていたの……?
「冬真……」
私はそっと、冬真の肩を押す。
離れたふたりの体。
私は冬真を見上げると、真剣な顔で話し始める。
「今までごめん……冬真。その……冬真の気持ちに気付けなくて」
冬真はふっと笑って、首を横にふった。
「でも、私、今すぐには冬真の気持ちに答えられない。だから、明日。明日、ちゃんと自分にけじめをつけるから」
「うん」
「だから、ほんの少しだけ待ってて欲しい」
私がそう言うと、冬真は優しく微笑んで頷いてくれた。
……私も、ちゃんと自分の気持ちに素直にならなきゃいけないね。
そして過去にさよならして、新たな一歩を踏み出さなきゃいけないんだ。
今、私の心臓があたたかく音をたてるのは、きっと湊人じゃないから。
──空にはもう5時を迎えるにも関わらず、きれいな太陽がこの世界を眩しく照らしていた。