目なし女の消えない呪い
美月は洞窟を前にして、父の言葉を思い出した。




〈 美月、あんな場所にお前は行くな!

幾重にも枝分かれしている洞窟で、方向感覚をなくしならどうする?

あの暗闇の洞窟の中で、自分が行くべき道を見失ったら…… 〉




美月は目の前にある高さ2メートルのフェンスに手をかけた。




〈 もしこの洞窟が幾重にも枝分かれしていて、危険だとわかっていても、私は行かなくちゃ……。

私しか、目なし女の呪いを解く人はいないから……。

私は弥生のために……、みんなのために…… 〉




美月はフェンスを乗り越え、洞窟の入り口に足を踏み入れた。
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