目なし女の消えない呪い
ビチャッ、ビチャッ、

ビチャッ、ビチャッ……。




その足音はゆっくりと、美月の方に近づいていた。




美月は自分に近づいてくる何者かに怯えながら、何も見えない暗闇の中で、後ずさりをした。




〈 いったい誰なの?

こんな誰もいない洞窟の中で……。

イヤだ……。

私は怖い……。

お願い、私に近寄らないで! 〉




「暗い……、暗い……、何も見えない。

暗い……、暗い……、何も見えない」




女の不気味なその声に、美月の心臓が飛び跳ねた。




その声の主は、間違いなくあの目なし女だった。
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