僕を愛した罪
「セイくんっ!」
あたしは追いかけようと玄関へ向かった。
だけど、「愛ちゃん」とおじちゃんに呼ばれてしまった。
「別に追いかけなくても大丈夫だよ、アイツなら」
「でもっ……」
「アイツのこと、気にしないで良いから」
スッとあたしの横を通り過ぎていくおじちゃん。
あたしはその言葉にカチンと来てしまった。
「おじちゃん。
今までもそうやって、セイくんのこと、追いかけなかったの?」
玄関の方を向き、おじちゃんに背を向けながら話した。
「この先もずっと、追いかけないの?
アイツなら大丈夫だからって言いきって?
時には、追いかけてあげなくちゃいけない時、あるんじゃないの?」
「…………」
「あたしは、追いかけなくて良いなんて思わない。
思いたくない。
あたしはいつでも大事な人を追いかけて行くつもり。
見失いたくないから」
あたしは急いで靴を履いて、家を飛び出した。