僕を愛した罪
「…………」
俺はベンチの背もたれに体を預けながら、景色を見渡した。
……見えた。
やっぱりここから近かった。
「……俺の、家……」
いや、違う。
あの家は、俺がかつて住んでいた家。
今は、あの男と…秘書兼執事の、宮口(みやぐち)が住んでいる。
あの家には、俺が飛びだしてから行っていない。
夜中に家を出たから、宮口にも別れ告げてないや。
「……もう、良いや」
良いよ。全部。もう、良いよ。
俺は両腕を空を見上げる目の上に乗せた。
一気に視界が、真っ暗になる。
「……変わってなかった、全部」
真っ暗になった視界で思い出すのは、
あの頃の、記憶。