僕を愛した罪
「……あんたに、何がわかるんだよっ!」
彼女の持つ、その真っ直ぐな声と笑顔にカチンと来て。
俺はその胸ぐらを、思い切り掴んだ。
「勝手に近寄って来て、勝手に俺のこと見て、勝手に俺のこと知っているとか言いやがって。
俺のこと、何でも知っているように言うなよ。
俺のことなんて、何も知らねぇくせに!」
お願いだから。
その真っ直ぐすぎるふたつ目で、俺のこと見ないで。
その目に見られると、俺は俺を失う。
全部全部、滅茶苦茶になる。
俺の中で“何か”が、音を立てて崩れるんだ。
……離れて。
「俺はあんたのことなんて、大嫌いなんだよ!
殺してぇぐらい、大ッ嫌いなんだよッ!!」
こんなことしか言えない俺が、憎くてたまらない。
殺したくて、たまらない。
「……それでも、あたしは、セイくんが好き」
俺の酷い言葉をものともせず。
彼女は、いつも通り、花のように、笑った。