僕を愛した罪
「あたしは、何もセイくんのこと知らない。
セイくんはあたしに、何も言ってくれないから。
彼女なんだから…素直に何でも言ってくれれば良いのに。
セイくんてば、恥ずかしがり屋さんなんだから。
そういうところも好きだけどね?」
エヘッと照れたように笑う彼女は、やっぱりアホだった。
俺は溜息をつきながら手を離し、眼鏡に手をかけ、外した。
「……馬鹿じゃねぇの?あんた」
「今頃気が付いた?」
「…ずっと馬鹿だったな、あんたは」
呆れるほど、馬鹿。
真っ直ぐなほど、馬鹿。
「あたしは確かに馬鹿だよ?
だけど、セイくんを想う気持ちは、嘘じゃないよ。
あたしは絶対に、嘘はつかない。
セイくんみたいに、あたしは器用に生きられないから。
どう頑張っても不器用になっちゃう。
だから、嘘はつきたくないの。
後悔も、したくないの」
そっと、俺の手を握った。
「大好き、セイくん。
セイくんが振り向いてくれるその日まで、あたしはセイくんに
好きだって言い続けるよ」