僕を愛した罪








俺はポケットに眼鏡をいれながら、ふっと笑みを漏らした。





「…マジであり得なくて意味わかんねぇの、あんただな」


「だって好きなんだもん。
諦めたくなんて、ないの。

今ならわかるから。
中学の頃わからなかった、気持ちに。

セイくんのこと、大好きだよ?」


「……あんた、馬鹿だな」


「え?」





俺は俺の手を握る彼女の手首を握り、引き寄せた。





「近いよッ……」


「良いんだよ近くて。
…嬉しいんだろ?

俺の傍にいられること」


「嬉しいけど…近いよぉ……」


「あんたは本当に飽きねぇ奴だよ」


「セイくん……?」


「俺の調子、簡単に狂わせやがって。
あんたほど変で馬鹿で真っ直ぐな奴、存在しねぇよ」


「ひどぉい!」




酷いと言いながらも、クスクス可笑しそうに笑う彼女。

…本当に、敵わねぇな。





俺を

簡単に堕としやがって。








< 117 / 178 >

この作品をシェア

pagetop