僕を愛した罪
ママの淹れたお茶を飲みながら、おじちゃんは静かに話し始めた。
「妻を…星夜の母親を病気で亡くし、わたしは秘書の宮口と共に、星夜を育てていく義務があった。
星夜には、苦労させたくなかった。
立派な仕事に就き、素敵な人と出会い、真面目な人生を歩んでほしかった。
わたしは祖父も父も政治家で、星夜にも政治家の道へ進んでほしかった。
政治家以外、当時のわたしには考えられなかった。
父は祖父から、わたしは父から、威圧的な教育を受けてきた。
星夜にも、同じ方法を施した。
祖父の時代から、ずっと続いている勉強法。
お蔭で父もわたしも、苦労知らずの、真面目な人生を歩んできた。
星夜にも、継いでほしかった。
…だけどアイツは、わたしの意見に反発した。
わたしは、信じていたのだよ。
祖父が考え、今まで行い続けてきた勉強法が、きっと星夜の役に立つと。
自分が間違っているなんて、思いもしなかった」
「……星太郎は、間違ってるよ」
パパが、静かに口を開いた。
「確かに星太郎や、星太郎のお父さんは成功してきたかもしれない。
だけどそれを、星夜くんに薦めるのは、間違っているよ。
多くの人間が成功しているからと言って、必ずしもその人が成功するとは限らない。
100%、この世の人間全員が成功する勉強法など存在しない。
皆誰しも、自分で自分に似合う勉強法や生き方を見つけ、挫折しながらも、地道に成功していくんだ。
星太郎の意見を、星夜くんに押し付けるのは、間違っているよ。
星夜くんの意見、聞いていないんだろ?」
何も言わず、こくりと頷くおじちゃん。