僕を愛した罪
あたしはおじちゃんから見えない位置に立って、
さっきから話を聞いていたセイくんに向けて声を放った。
「なっ…星夜、いるのか?」
「いるよー?
さっきね、一緒に戻ってきたの。
セイくん?
おじちゃんはしっかり、本音言ったよ?
セイくんも言ったら?」
壁に寄りかかり、
廊下の床を見つめているだけで動こうとしないセイくん。
「も~、恥ずかしがり屋さんなんだからァ」
「ぅわっ!」
あたしはニパッと笑って、セイくんの手を引いた。
いきなり手を引かれたセイくんは、
真ん丸の目をしているおじちゃんと目が合った。
「おじちゃんは本音言ったからさぁ。
セイくんもちゃんと言おう?
平気だよ、セイくん。
おじちゃんはセイくんのこと、大好きだよ」
あの日。
まだ病んでいたあたしは。
屋上で、セイくんに出会った。
セイくんの、寂しそうで哀しそうで、泣きそうな瞳に。
あたしは一目惚れをした。
セイくん。
あの時あたしは確かに、セイくんに助けられたんだよ。
もう1度恋をしようって決めたんだよ。
今度はあたしが、
セイくんを救う番だよ