僕を愛した罪
「……桐生(きりゅう)、です」
「えっ?」
ぱちくりと目を瞬かせる彼女。
ですがすぐにパッと明るくなりました。
「桐生?
変わった名前だね!
上の名前は何て言うの?」
もしこれが漫画やアニメの世界ならば、きっと僕はずっこけていたことでしょう。
一瞬にして気が抜けた気がします。
「桐生が名字ですよ…。
下の名前のわけないじゃないですか…」
「あっ、そっか!
じゃあ下の名前は何て言うの?」
「……それは後ほど」
「えっ!
それってありなの?」
「ありです」
僕は彼女に踵を返して歩き出します。
さっきと陽の強さは変わっていません。
存在の大きい太陽を目を細めながら眺めると、
隣に彼女が並んで歩き出しました。