僕を愛した罪
何も話さないけど、伝わる体温。
時々触れる制服。
お互い夏服で半袖だから、肌同士が当たる。
当たる度にドキドキしちゃう。
あたしより背の高い桐生くんを見上げる。
いつもは眼鏡越しだけど、横からだから眼鏡越しじゃない。
まぁ横顔なんだけど。
あたしを全く見ていないその瞳は、どこか遠くを見つめていた。
真っ直ぐ見つめているんだけど、
桐生くんにはきっと別の世界が見えている気がした。
あたしは桐生くんを何も知らない。
家は1度追いかけたことがあるから…知っていたけど。
家族構成も何も知らない。
何で授業をサボっているのに頭良いのかも。
何で常に敬語で話し無表情なのかも。
『…何、しているの?』
あの日。
あたしが桐生くんに出会った日。
『…………』
彼が学校の屋上の
柵の外にいた…その理由も。