僕を愛した罪
「…やっぱりキミは馬鹿ですね」
「あたしのことますます好きになっちゃった?」
「ますます、とはどういうことでしょうか?
僕はキミのことなんて好きだと思ったことは微塵もありませんよ。
キミの脳内は年がら年中お花畑のようですね」
「酷いなぁ桐生くんは~」
僕の隣に腰をおろしてクスクス可笑しそうに笑う彼女。
酷い、と言いながらも彼女は僕の傍を、離れない。
「……お手洗い、行ってきます」
「行ってらっしゃい」
僕は立ちあがると、屋上を出ました。
だけどお手洗いに行くのは、嘘です。
僕はガタンッと音をたてて扉に寄りかかりました。
「……よ…。
どうしてだよ…。
何でアイツ…あの馬鹿は
俺から離れようとしねぇんだよ…。
あー…
調子狂うわ…まったく…
“あの男”のように俺を捨てれば
文句なんて言わねぇし調子も狂わねぇのに」
クシャッと前髪を上げて呟きます。
大嫌い。
大ッ嫌いだ、アイツなんて。
前園愛なんて、大嫌いだ。
「好きになんて、ぜってーならねぇから…」