僕を愛した罪
僕より頭1個分背の低い彼女。
胸元に、彼女のぷっくりした頬が当たるのがわかります。
「桐生くん…桐生くん…ぎりゅうぐん……」
「…桐生くん、が崩壊していますよ」
「ごめんね、ごめんね。
あたし、何も聞かないから。
あたしのこと、ヒトリにしないでよぉ」
わんわん、子どものように泣きじゃくる彼女。
僕はゆっくり、ぎこちない動作で彼女の旋毛(つむじ)の部分に手を乗せました。
「……愛。
俺の方こそ、ごめん」
「桐生くん……?」
先ほどと同じくぎこちない動作で、ポンポンと上下に手を動かします。
太陽のせいなのか熱くなっている頭。
思ったよりも柔らかな髪が、風に靡きました。
「桐生くん…今名前…?」
「……気のせいじゃないですか?」
「気のせいじゃないよっ!」
「…うるさいですね」
僕はそのまま、自分の唇で、彼女の唇を塞ぎました。
嫌いだよ。
大嫌い。
キミのこと、本当に嫌い。